第3段/全7段:脳で見る

脳科学・右脳と左脳

右脳派・左脳派は本当か。1,011人の脳を調べた研究をはじめ、脳について実際に分かっていることと、広まってしまった通説を分けます。

脳科学とは、心の働きを脳の構造と活動から説明しようとする分野です。ここでは、その中でも「右脳と左脳」の話を軸にしています。

理由は単純で、いちばん検索されていて、いちばん誤解されているからです。右脳派・左脳派というタイプ論は、1,011人分の脳画像を調べた研究で否定されています。それでも診断テストは毎日のように回っている。

ただ、否定されたのはタイプ論であって、左右差そのものではありません。言語がどちらかに寄ることも、空間の把握が反対側に寄ることも、実際に測られています。この境目を知っていると、「右脳を鍛える」系の話を自分で判定できるようになります。

最初に読むのは「右脳と左脳の違い」です。何が本当で何が作り話かを分けてから、鍛え方の記事へ進んでください。

読む順番

  1. 右脳と左脳の違いとは?1,011人の脳を調べた研究と、タイプ論が消えない理由

    右脳と左脳の違いを、1,011人分の脳画像を調べた2013年の研究から整理します。脳全体として右寄り・左寄りの人という型は出てきませんでした。ただし左右差そのものは実在します。何がどれだけ偏っているのかを、数字で4つ並べます。

  2. 右脳・左脳診断は当たるのか|腕組み・回る女性の出どころと、利き脳という名前

    右脳・左脳診断に根拠はあるのか。腕組み・指組み・回る女性のシルエットの出どころを一次資料で開くと、測っていたのは利き手のくせと、目のくせでした。日本での呼び名は「利き脳」で、1998年の本と1987年の46人の研究まではたどれます。1,011人の脳画像に、右脳型・左脳型という人はいませんでした。

  3. 脳科学と心理学の違い|脳のことばが混ざるだけで説明がよく見える、という実験

    脳科学と心理学の違いは、入口です。脳科学は物質である脳から、心理学は心と行動から、同じ「こころ」を調べます。ただ、説明に脳のことばが混ざるだけで、人はその説明をよく見てしまう。81人・22人・48人で測った実験と、430人でやり直した2024年の追試を、出典つきで整理します。

よくある質問

右脳派・左脳派は本当にありますか。

人を右脳型・左脳型に分ける根拠は見つかっていません。1,011人分の脳画像を調べた2013年の研究が、そのタイプ分けを否定しています。

では右脳と左脳に違いはないのですか。

違いはあります。言語の処理は多くの人で左に寄り、空間の把握は右に寄ります。実在するのは働きの偏りで、人格のタイプではありません。

右脳を鍛えると頭が良くなりますか。

片側だけを鍛えて能力が上がるという証拠はありません。実際に効くのは、扱う対象そのものの経験量です。

脳科学・右脳と左脳の記事一覧

3本