「明治大学で超心理学が学べる」と聞いて、シラバスを探した人。教授の名前だけ見つけて、そこで止まった人。
僕も、同じところで一度止まりました。
先に結論を書きます。明治大学に、「超心理学」という名前の科目はありません。中身は「不思議現象の心理学」という別の名前の授業として、2026年度も開いています。
看板の名前が、中身と違う。
それだけの話でした。
順番に書きます。
公式ページに「超心理学」という科目名はない
大学院の教員紹介を開くと、石川幹人教授は情報コミュニケーション研究科の教授で、博士(工学)です。
専攻分野は、認知科学・科学基礎論・科学技術社会論です。
大学院で受け持つ科目は、「認知情報論」。
ならんでいるのは、そこまででした。
著書の欄には4冊ならんでいて、超心理学の本はそのうち1冊だけです。その1冊が、2012年の『超心理学~封印された超常現象の科学』です。
この教員紹介ページに、科目名としての「超心理学」は出てきません。
肩書きと、本はある。授業の名前は、ない。
ここが、検索の言葉と実物のずれです。
石川教授の担当は、2016年度で終わっている
教授が自分で大学のサーバーに置いている、担当講義の一覧があります。
そこに、超心理学にいちばん近い科目がのっていました。科目名は、「不思議現象の心理学」です。
担当は、2010年度から2016年度まで。7年間でした。
そのあとが、ありません。
石川教授の欄では、そこで止まっています。
いま受け持っているのは、「認知科学」「科学リテラシー」「脳科学」など。2024年度からは、明治大学博物館長も務めています。
研究室のほうも、見ておきます。
同じサーバーに、「メタ超心理学研究室」があります。2003年4月3日に、開設。場所は、研究棟212号です。
ただし、ページにはこう書いてあります。「なお現在、活動は休止中です」。
いまも、そのままでした。
科目のほうは、担当者が替わって2026年も開いている
授業は7年で閉じた、と書くつもりでいました。
シラバスは学生しか見られない、と思っていたからです。
——開けました。
思いこんでいたのは、こちらのほうでした。
情報コミュニケーション学部は、2026年度のシラバス(授業概要)をPDFで公開しています。ログインは要りません。
だれでも、開けます。
そこを「超心理」「不思議現象」で検索して、確かめました。
「不思議現象の心理学」は、2026年度も開講しています。3年次で、2単位。担当は、蛭川立准教授です。
中身は、半期まるごと超心理学でした。
名前だけが、ちがう。
第3回「行動主義・統計学・超心理学」、第4回「因果性・共時性・テレパシー」、第10回「運動と念力(PK)」。全14回のうちの、これだけです。
石川教授の側にも、残っていました。2026年度の「認知科学Ⅱ」は、第10回が「ウソとホントの間2~超心理学」です。
閉じたのは、石川教授の担当分だけ。科目そのものは、名前を変えたまま開いています。
日本超心理学会の初代会長・小熊虎之助も、明治大学の教授でした。縁は、そこから続いています。
研究室は休んでいても、『超心理学講座』は開いている
大学に入らなくても読めるものが、もうひとつあります。
研究室のページの中に、『超心理学講座』という読みものが残っています。無料です。
中身は、全8章。社会学の章に始まり、実験の章、事例調査の章を通って、哲学の章で終わります。どの章も5〜9節。
そのあとに、用語解説と演習問題がついています。
どこからでも、読めます。
ただし、書かれた時期には注意が要ります。情報は2003年1月時点のものだと、本人が断っている。
初学者には、ほかの概論書を1冊ひととおり読んでから、と勧めています。
入口には、「超心理学・超能力にかんする7つの誤解」というページがあります。
ふたつ目の誤解は、「超心理学者は超能力の存在を信じている」というものです。
石川教授の答えは、信奉は棚上げにして、経験的事実にもとづいた研究をしている、というものでした。超心理学者のなかには懐疑論者も多くいる、とも書いています。
書いている本人が、ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)のメンバーでもある。
信じる側の教材ではない。
ここは、先に知っておいていいところです。
先に読む1冊が要るなら、同じ著者の本が2つあります。2012年の『超心理学~封印された超常現象の科学』は、385ページ。3部構成で、付録は用語集・統計分析の基礎・読書ガイドの3つです。
もっと薄いのが、2014年の新潮新書『「超常現象」を本気で科学する』。こちらは、208ページ。
入口は、どちらでもいい。
講座の元は、2002年の8週間の研修だった
石川教授が『超心理学講座』を無料で置いている理由は、まえがきに書いてありました。
2002年度、石川教授はデューク大学のコンピュータ工学部に、客員研究員として在籍していました。その機会に、ライン研究センターの夏の研修、SSPに参加します。
SSPは、1970年代から続く超心理学者の養成コースです。2002年は、6月3日から7月26日までの8週間。参加者は12人で、うち日本人は1人。
講師は26人、レクチャーは52コマ。試験で6割を取れないと、合格証が出ません。受かったのは、7人だったようです。
かなり、きびしい。
本人の見立ては、こうです。「SSPは明らかに大学院レベルの『超心理学』の専門履修コースに相当する」。
そう、書いています。
その大学院レベルの中身に記述を足して、大幅に組み直したものが、この講座です。
だから、授業を取らなくても、おなじところにたどり着けます。
ここが、この講座の出どころでした。
今日の話をまとめると
明治大学に「超心理学」という名前の科目は、2026年度もありません。
ただし中身は、「不思議現象の心理学」という名前で開いています。石川教授の担当は2016年度で終わり、いまは蛭川立准教授です。
研究室のほうは、休止中。それでも『超心理学講座』全8章は、無料のまま置いてあります。
探すのをやめる前に、名前を変えて探す。看板ではなく、中身のほうを見る。
さがし方を、ひとつ変えるだけでした。
今夜、3分だけ使ってください。「超心理学講座 石川幹人」と検索して、まえがきだけ読む。
8章を読むかどうかは、そのあとで決めればいい。
そもそも心理学とどこで分かれたのかは、超心理学と心理学の違いにまとめました。
引き寄せのほうを、おなじやり方で調べたのが引き寄せの法則に科学的根拠はあるのかです。
書いているのがどんな人間かは、プロフィールに置いてあります。





