超心理学を大学で学びたくて、専攻のリストをさがした人。海外なら専攻があるときいて、留学の案内をひらいた人。
僕も、おなじ順番でさがしました。
先に結論を書きます。超心理学を専攻として学べる大学は、日本にもイギリスにもありません。あるのは心理学科の中の研究ユニットで、指導教員をじぶんでさがして学ぶ形です。
看板は、ない。中身は、ある。
順番に書きます。
日本の大学に、超心理学の専攻はない
「超心理学 大学」でさがすと、まず明治大学の名前が出てきます。
公式ページを、ひらきました。石川幹人教授の専門は、認知科学・科学基礎論・科学技術社会論。
石川教授がしらべているのは、疑似科学のうけとられ方と、科学リテラシーの教育です。
超心理学の専門コースは、ありません。その石川教授が2012年に『超心理学~封印された超常現象の科学』を書いた。
つまり日本で出てくる名前は「超心理学の教授」ではなく、「超心理学について書いた教授」なんですよね。
日本に、看板はない。
明治大学の中身は、超心理学と明治大学にあります。
本場イギリスでも、超心理学は心理学科の中にある
では本場は、どうなのか?
まず名前があがるのが、エジンバラ大学。ケストラー超心理学ユニット、略してKPU。1985年にできて、いまも心理学科の中にあります。
もとは、作家アーサー・ケストラー夫妻がのこした財産です。イギリスの大学に超心理学の教授職をつくること。それが、のこすときの条件。
KPUがしらべているのは、4つ。超能力はあるのか、ふしぎな体験と超常を信じる心、だますこととじぶんをだますこと、歴史と概念の問題。
ケストラーの名がついた、この教授職。最初についたのが、ロバート・モリスです。1985年から2004年になくなるまで、この席にいました。
そのあいだに指導した大学院生は、30人以上。
学部生のほうは、数え方が食いちがいます。ユニット自身のページは「100件を超える研究をみた」と件数で書き、心霊研究協会の百科事典は「120人」と人数で書いている。
そのまま、両方書きます。
教わった人の多くが、ほかの大学で教える側にいます。批判の側で知られるリチャード・ワイズマンも、そのひとり。いまはハートフォードシャー大学にいると、石川教授の『超心理学講座』にあります。
では、何校あるのか。ぜんぶの数は、どこにもありません。
百科事典にあるのは、2014年の調査の結果です。答えたのは、6つの大学。セントラル・ランカシャー、ダービー、エジンバラ、ゴールドスミス、グリニッジ、ノーサンプトン。どれも学部の選択科目として教えている、とあります。
同じ記事のリストには、ハートフォードシャー、ランカスター、ヨークもならびます。6つは、上限ではない。調査に答えた大学の数です。
数の話は、そこまで。
ただし、どれも「超心理学部」ではありません。心理学の中に、席がある形です。
「専攻」ではなく、指導教員をさがして学ぶ
KPUの教育のページに、はっきり書いてあります。
学生は、心理学科の修士と博士のコースで、超心理学を学べる。ただし枠はすくなく、しらべたいことが重なる指導教員を、じぶんで見つけるしかない。
専攻をえらぶのではなく、指導教員をさがす。本場でも、入り方はこれです。
学科のリストに「超心理学」という専攻はない。あるのは、それをしらべている人の名前だけ。
だから、専攻のリストをめくっているかぎり、超心理学を学べるところは、いつまでも見つかりません。
さがす対象が、ちがう。
もうひとつ、あります。KPUは2008年から2023年まで、オンライン講座をひらいていました。つくったのは、キャロライン・ワット教授。
いまは、おわっています。遠くからでも入れた扉が——ひとつ、しまりました。
ノーサンプトンにも、心理学部門の中に拠点がある
もうひとつは、ノーサンプトン大学。
ふつうでは説明のつかない心理を研究するセンター、略称CSAPPが2001年にできました。デラノイ、シャーウッド、クリス・ロウの3人がつくっています。
ただし、その名前ではもうさがせません。2017年に EECS(並外れた体験と意識の研究)へ変わり、心理学と社会学のセンターの下の研究グループです。
名前は、変わる。
場所は、心理学部門の中。並外れた人間の体験を研究する拠点として、大学の中では最大級のひとつ。2015年のニュースに、大学自身がそう書いています。
博士課程をみているのが、そのクリス・ロウです。2020年に、博士指導の賞を大学からうけています。
超心理学で博士をとる道が、じっさいに動いている。ここは、たしかめられた。
肩書きは、やはり心理学の教授。看板はさいごまで、心理学のほうにあるんですよね。
研究者の世界は小さく、入口は学会のほうにある
大学の外に、もうひとつ入口があります。学会です。
世界の団体は、超心理学協会。1957年にできて、1969年からアメリカ科学振興協会に加盟しています。
いまの会員数は、公式ページからたどれません。石川教授が2003年に書いた『超心理学講座』には、当時で約300名、研究実績がないと会員になれない、とあります。
23年前の数字です。
日本にも、学会があります。もとは1963年の「超心理学研究会」で、1968年から日本超心理学会です。初代の会長は、明治大学の小熊虎之助教授でした。
石川教授ではない。
学会のほうが、先です。エジンバラのKPUは1985年。
学会のサイトには、隔月で月例会をひらき、非会員は初回だけ参加費が無料、とあります。
ただし告知は、2013年6月の第419回で止まっています。いま開かれているのかは、たどれません。
学会誌は、生きています。
『超心理学研究』のバックナンバーは、J-STAGEでよめます。査読つきで、無料。いちばん新しいのは、2021年の17巻です。
専攻はなくても、この17巻ぶんは、今夜からたどれます。
今日の話をまとめると
超心理学を専攻として学べる大学は、日本にもイギリスにもありません。
本場のエジンバラでも、1985年からの研究ユニットで、指導教員を見つけて学ぶ形。ノーサンプトンも、2001年からのセンターが心理学部門の中にある。
看板は心理学。中身に超心理学がある。さがすのは専攻ではなく、人のほうです。
モリス教授が指導した大学院生は30人以上。専攻の看板がなくても、人は育っていました。
今夜、3分だけ使ってください。J-STAGEで「超心理学研究」を検索して、目次を1号分ひらく。
入るかどうかは、そのあとで。
心理学とのちがいは、超心理学と心理学の違いに書きました。
僕がだれかは、プロフィールにあります。





