波動が高い人の特徴|正体は感情伝染で、幸せは友だちの友だちの友だちまで連動する

波動が高い人の特徴|正体は感情伝染で、幸せは友だちの友だちの友だちまで連動する

真ん中に落ちたひとしずくが、となりへ、そのとなりへとひろがっていく。幸せの連動も、三つ目の輪まで残っていた。
真ん中に落ちたひとしずくが、となりへ、そのとなりへとひろがっていく。幸せの連動も、三つ目の輪まで残っていた。

「あの人といると、なぜか元気になる」。そう言われる人が、まわりにひとりはいると思います。

逆に、自分はそう言われたことがない。むしろ「波動が低い」と言われた側だった。

僕は、後者でした。自分の機嫌ひとつ、自分で戻せない時期がありました。

先に結論を書きます。「波動が高い人」の正体は、機嫌のいい状態が先にあって、それがそばにいる人へ、本人も相手も気づかないうちにうつっていく人です

その人が、とくべつな何かを出しているわけではないです。

うつるのは、機嫌です。

順番に書きます。

「波動が高い」の中身は、気分がうつること

心理学に、感情伝染ということばがあります。人の気分が、そばにいる人へうつることです。

何かを出している見えない何かを放っているという説明。測り方がなく、次にやることが出ない機嫌が、うつっているその人の機嫌が、そばの人へ先に入る。本人に自覚がなくても、筋肉が先に動く何かを出している見えない何かを放っているという説明。測り方がなく、次にやることが出ない機嫌が、うつっているその人の機嫌が、そばの人へ先に入る。本人に自覚がなくても、筋肉が先に動く
「波動が高い人」を、測れることばに置き換えると、こうなる。

1994年に、3人の研究者が1冊にまとめました。

「波動が高い人」のまわりで起きていることは、ほぼこれです。

その人の機嫌が、そばにいる人の顔と体へ先に入っている。

だから、そばにいる側が元気になる。

ここで大事なのは、うつり始めるのが気づく前だということと、届く距離です。

気づく前に始まることは、表情の実験で測られています。距離のほうは、20年の追跡調査で測られています。

証拠の種類が、違います。

なので、分けて書きます。

30ミリ秒の顔に、筋肉が反応する

2000年に、こんな実験が出ています。

30ミリ秒だけ映す笑顔か怒り顔の写真を、ごくわずかな時間だけ出すすぐに隠す別の無表情の顔をかぶせる。この重ねがけで見た自覚が消える筋肉が動く顔の筋電図で、見せた表情の筋肉が動いた30ミリ秒だけ映す笑顔か怒り顔の写真を、ごくわずかな時間だけ出すすぐに隠す別の無表情の顔をかぶせる。この重ねがけで見た自覚が消える筋肉が動く顔の筋電図で、見せた表情の筋肉が動いた
見えていない表情に、顔の筋肉が先に返事をする。2000年の実験。

笑顔、怒り顔、無表情の顔写真を、30ミリ秒だけ映す。すぐに別の無表情の顔をかぶせる。

短く映すことと、あとから別の顔をかぶせること。この2つを合わせると、見たという自覚が消えます。

見た記憶は、残りません。

それでも、顔の筋肉は動いていました。

笑顔を見せられた人は口角を上げる筋肉が、怒り顔を見せられた人は眉をよせる筋肉が、それぞれ動いていた。顔の筋電図で測っています。

見えていない表情に、顔の筋肉のほうが先に返事をしている

「なぜか元気になる」の「なぜか」は、ここです。本人が気づく前に、相手の顔が自分の顔にうつっている。

姿勢もしぐさも、気づかないうちにまねしている

うつるのは、顔だけではないです。

実験1 気づかないうちに、まねしている相手の姿勢・しぐさ・表情に、自分のふるまいが合っていく実験2 まねされると、好きになるやりとりがなめらかだと感じ、相手への好意がふえる実験3 共感性の高い人ほど、強いまねの強さは、人によって違う出典: Chartrand & Bargh 1999
1999年の3本の実験。まねは、気づかないうちに始まり、好意を連れてくる。

1999年に、3本の実験をまとめた論文が出ています。研究者たちは、これをカメレオン効果と名づけました。

ひとつ目。人は、いっしょにいる相手の姿勢やしぐさ、表情を、気づかないうちにまねしている。相手にあわせて、自分のふるまいが勝手に変わる。

ふたつ目。仕込みの相手にわざとまねをさせると、まねされた人は、やりとりがなめらかだと感じ、相手への好意がふえた。

みっつ目。共感性の高い人ほど、このまねが強く出る。

「波動が合う」と感じている相手とは、たぶん、まねし合っているんですよね。

まねされると、好きになる。好きになると、またまねをする。この往復が、「合う」の中身です。

ひとりの機嫌が、部屋の協力度を変える

では、機嫌のいい人がひとり入ると、集団はどう変わるのか?

実験の作り経営学部の学生94人を、29グループに分ける1グループは2〜4人。そこに仕込みの演者が1人入る演者は、決められた気分を演じる明るい気分がうつったグループ協力がふえた対立が減った自分たちの成果を、高く感じた実験の作り経営学部の学生94人を、29グループに分ける1グループは2〜4人。そこに仕込みの演者が1人入る演者は、決められた気分を演じる明るい気分がうつったグループ協力がふえた対立が減った自分たちの成果を、高く感じた
ひとりの気分が、部屋の協力度を変える。2002年の実験。

2002年に、それを測った実験があります。

経営学部の学生94人を、29のグループに分ける。1グループは2〜4人。そこに仕込みの演者が1人ずつ入る。演者は、決められた気分を演じる。

演者の気分は、ほかのメンバーにうつっていました。外から見た人の評価でも、本人の申告でも、おなじ結果です。

そして、明るい気分がうつったグループは、協力がふえ、対立が減り、自分たちの成果を高く感じていた。

差が見つからなかったところもあります。明るい気分と暗い気分のあいだにも、テンションの高低のあいだにも、うつる強さの差は出ませんでした。

ただし、差がないと証明されたわけではないです。

集団の空気は、ひとりの機嫌から作れる。いい方向にも、悪い方向にも。

「波動が高い人がいると場がよくなる」は、ここまで実験で書けます。

幸せは、友だちの友だちの友だちまで連動する

さいごに、届く距離です。

直接の相手15.3%高い友だちの友だち9.8%高い友だちの友だちの友だち5.6%高い出典: Fowler & Christakis 2008(つながりをランダムに入れ替えた場合と比べた、幸せである確率の高さ)
幸せの関連は、3次のつながりまで残っていた。20年間、4,739人の記録。

ここからは実験ではなく、20年の追跡記録になります。

フラミンガム心臓研究という調査があります。アメリカのひとつの町で、4,739人を1983年から2003年まで追った記録です。

その中で、幸せがどうひろがるかを調べた論文が、2008年に出ています。

つながりをランダムに入れ替えた場合と比べると、直接つながっている相手が幸せなとき、本人が幸せである確率は15.3%高い。友だちの友だちで9.8%、その先で5.6%。

幸せの度合いは、3次のつながりまで関連が残っていました

ただし、これは追跡記録の相関です。論文自身が「因果の仕組みまでは特定できない」と書いています。

同じ号には、反論も載りました。同じ解析のやり方だと、身長やニキビにまで「ネットワーク効果」が出てしまう、という指摘です。

距離が近いほど、上がり幅は大きくなります。

1.6km以内に住む友だちが幸せだと、本人が幸せである確率は25%高い。となりの家の人だと34%。同居の配偶者は8%でした。

おなじ職場の同僚どうしでは、差が出ていません。

逆向きも、おなじです。おなじ町の12,067人を32年間追ったところ、うつ症状も3次のつながりまで相関していました。

明るい機嫌も、落ち込みも、おなじ道を通っている。

ただし、こちらはその場の機嫌ではないです。10年ほど間をあけて3回測った、「先週どれくらい幸せだったか」——それが、ここでの幸せです。

会って話さなくても、連動します。

2014年の研究では、雨の降った街の人の投稿が否定的になると、雨の降っていない別の街の友だちの投稿まで否定的になっていました。

前向きな投稿は、ひとつにつき友だちの前向きな投稿を1.75件ふやす。後ろ向きな投稿は、1.29件。

明るいほうが、強いです。

ただし雨1日ぶんの効果は投稿の1%あまりで、著者自身が「効果は小さい」と書いています。

今日の話をまとめると

「波動が高い人」の正体は、機嫌が、そばにいる人へうつっていく人でした。

うつり合って協力がふえる距離をとる、と決められる相手の機嫌で、上がる落ち込みも3次まで連動そばの人が明るいそばの人が暗い選んで過ごすなりゆき
この記事の着地。誰と時間を過ごすかを、こちらから選ぶ。

30ミリ秒の顔に、筋肉が反応する。姿勢もしぐさも、気づかないうちにまねし合う。

ひとりの機嫌が、部屋の協力度を変える。そして幸せも落ち込みも、友だちの友だちの友だちまで連動していました。

だから、順番はこうです。波動を上げようとするのではなく、誰と時間を過ごすかを選ぶ。

うつる方向は、こちらで選べます。

今夜、3分だけ使ってください。この1週間で、いちばん長くいっしょにいた人を3人書く。その横に、その人といたあとの自分の機嫌が、上がったか下がったかだけを書く。

下がった人が多ければ、うつっているのは、そちらです。

気づく前に判断が決まっている側の心のことは、潜在意識と顕在意識の違いに書きました。

僕がどういう人間で、なぜ測られた数字で書くのかは、プロフィールにあります。

出典・参考文献

  1. Hatfield E, Cacioppo JT, Rapson RL. Emotional Contagion. Cambridge University Press, 1994.
  2. Dimberg U, Thunberg M, Elmehed K. Unconscious facial reactions to emotional facial expressions. Psychological Science 2000;11(1):86-89.
  3. Chartrand TL, Bargh JA. The chameleon effect: the perception-behavior link and social interaction. Journal of Personality and Social Psychology 1999;76(6):893-910.
  4. Barsade SG. The Ripple Effect: Emotional Contagion and its Influence on Group Behavior. Administrative Science Quarterly 2002;47(4):644-675.
  5. Fowler JH, Christakis NA. Dynamic spread of happiness in a large social network: longitudinal analysis over 20 years in the Framingham Heart Study. BMJ 2008;337:a2338.
  6. Cohen-Cole E, Fletcher JM. Detecting implausible social network effects in acne, height, and headaches: longitudinal analysis. BMJ 2008;337:a2533.
  7. Rosenquist JN, Fowler JH, Christakis NA. Social network determinants of depression. Molecular Psychiatry 2011;16(3):273-281.
  8. Coviello L, Sohn Y, Kramer ADI, et al. Detecting emotional contagion in massive social networks. PLoS ONE 2014;9(3):e90315.

波動を持ち上げるためにも、否定するためにも集めた資料ではありません。「波動が高い人」と呼ばれてきた中身を、測られた実験と、追跡調査だけで並べ直したものです。数字は、一次資料でたしかめられたものだけです。

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